引越(2)(申込キャンセルによるトラブル) - 社会を見て、聞いて、感じる。

 6月26日(火)に、蒲田から新横浜へ引っ越しをした。この引っ越しに関しては、「実際の新居への引っ越し」だけでなく、「実際には契約しなかった他の賃貸物件における業者とのトラブル」という事件があった。ここでは、その事件(不動産業者とのトラブル)について書く。 

 ある物件への申込をして申込金を支払い、保証会社の審査後に敷金や最初の月の賃料などの初期費用を支払ったが、その後、ずっとお願いしていた確認・調整事項の実施が進まないことから、契約書を交わす前に申込を辞退した。その後、初期費用の返還に際して、先方は契約に向けて既に部屋のルームクリーニングを実施しているため、掛かったルームクリーニング代(総額約11万円)を差し引いた金額を返還することに同意しないと返還が出来ないと言ってきた。これまでやりとりをしてきた(窓口となっている)仲介会社ではなく、その先にある物件の管理会社がそう言っているとのことだった。

 このルームクリーニングは、内見時に仲介不動産屋より「少し汚いのでルームクリーニングしてもらいますね」と提案され、備忘のために書いておいてくださいと言われて、私が申込書にルームクリーニングを希望する旨を記載したことに基づいて行われたものであるため、他の人に貸す場合には実施しなかったものであるから、負担してもらうことになる、とのこと。ルームクリーニングの希望を申込書に記載してしまっている以上、仕方ないのかとも思うのだが、全額を請求されるのは少し納得がいかず、先方に「法律上そういう決まりになっているんですよね?」と確認したところ、「法律関係はよくわからない」と言われ、少し不審に思った。ちなみに、私からの支払いは全て仲介会社に対して行っているが、その内の一部が管理会社へ支払われており、管理会社がその返金を拒否しているとのこと。仲介会社は、自分たちの手元にあるお金(約12万円)はすぐにでも返金できるが、管理会社へ渡してしまったお金(約18万円)については、そちらから返してもらわないといけないとのことだった。

 管理会社の担当者とも直接電話で話をしたところ、「法律上そういう決まりになっているか」という質問には答えず、ひたすら「契約直前でキャンセルなんて、人として申し訳ないとは思わないのか」というような感情論を訴える喧嘩腰だった。仕方がないので、インターネットで色々と調べて、下記の対応を取ることにした。

 まず、不動産会社が東京都知事免許の業者であったことから、「東京都 都市整備局 住宅政策推進部 不動産業課」にある賃貸ホットラインに連絡をして相談をした。すると、その業者は宅建業法違反の行為をしている可能性があるとのことで、一度窓口相談へ伺うことになった。窓口相談に持参したのは、下記の書類。

・物件情報書類(物件案内のチラシ)・申込書のコピー・初期費用の請求書(内訳)・初期費用支払いの証拠書類(ネットバンキングの振込結果ページとクレジットカードの決済結果ページの印刷)・クリーニング費用の請求書・仲介会社及び管理会社の会社名と許可番号がわかる資料

 不動産業課の担当者さんは親身になって相談に乗って下さり、やはり宅建業法違反の可能性が高いとのことだった。しかし、クリーニングの依頼をしているという事実があることから、その点がどう判断されるか微妙な面もあるとのことで、一度無料の弁護士相談を受けるように紹介をされた(不動産業課の中に相談室がある)。そして後日、弁護士相談でも今回の場合はクリーニング代を支払う必要はないという結論が出た。簡単に言えば、「特殊な内容のものでなく、一般的なもので別の入居者の為にもなるものであれば、入居もしない貴方に支払いの義務があるとは考えられない」ということだった。その上で、再度不動産業課の担当者さんと面談したところ、担当者さんから業者へ状況確認と指導をして下さることになった。

 そこからは早かった。不動産業課の担当者さんから連絡がいったと思われる数時間後には、不動産屋の店長から「全額を返金する」旨の連絡が入り、即日で全額が返金(振込)された。許可行政庁の力、恐るべし。そして、やはり返金しないのは宅建業法違反だったのだ。すぐに不動産業課の担当者さんにご連絡をして、報告とお礼を伝えた。東京都不動産業課さんの対応は本当に親切で、ありがたかった。

 今回のことは、文章にすると簡単だが、不動産屋とのやりとりや東京都庁への訪問など、時間も手間も取られたし、何より精神的に疲弊して、途中で諦めようと思ったこともあった。しかし、11万円という金額は大きかったし、このような「大人の喧嘩」をする機会はなかなかないので、経験のためにやれることはやってみようと考えた。育休中で時間に余裕があったことも大きかった。また、繰り返しになるが、やはり東京都の担当者さんの対応の親身さが心強かった。ただ、今度からは安易な申込や費用の支払いはやめようと反省した。「細かな要望や調整は申し込みをしてもらってからでないと」という口車に乗ってはいけなかったのだ。良い経験だったが、2度も経験する必要はない。