何がどう違うんだ?お前のこの嬉しそうな顔を良く見ろ、
1時間位DVDを見ていたのでしょうか、妻が気になります。
バスルームを覗きました。妻は全裸で洗い場に蹲っています、背中が揺れています。
私がドアーを開けたのに気づきしゃくりあげるように泣き出しました。その部分を見ますと、擦った後が真っ赤になっています。しかし文字は消えていないのです。
「ちょっと擦った位では消えない程、お前たちの絆は強いわけだ」
「違います。今までも消そうとしていました。でも擦った後を見つけられると酷く打たれました」
「貴方、ご免なさい、由里子を許してください」
「許せない。ばれなかったらそんな言葉も出てこないだろう」
「違います。初めからこんな事にはなりたくなかった。でも断れなかった」
「DVDを見た。お前は喜んでいた。俺にも見せた事のないような顔でな」
「いやぁー、もう見ないで」
泣き叫んでいます。泣けば泣くほど、妻をもっと泣かせてやりたい、そんな気持になってしまいます。今は妻と津岡をどう裁こうか、そんな事は考えられません。自分の衝動のままに動いてしまいます。
「お前の喜んでいるいるところを見てみたらどうだ。こっちへ来いっ」
無理やり妻をパソコンのある部屋に引っ張っていきます。1番のDVDを立ち上げます。
妻は画面を見ません。髪を掴み強引に画面に向かせます。
「目を開いてよく見るんだ」
妻は沈んだ顔で画面を見ています。暫くすると妻は怪訝な顔になるのです。
「違います、このDVDは違います」
「何がどう違うんだ?お前のこの嬉しそうな顔を良く見ろ、残念ながら津岡は写っていないがな」
当たり前です、津岡が自分の顔を撮る筈がありません。
「このDVDはどうしたのですか?」
「DVDが勝手にここに来るわけがないだろう。今日、津岡が俺に寄こしたものだ。お前が津岡に夢中になっているのを見せて、俺に諦めろと言いたいのだろう」
「私のDVDでは無いのですね?」
「お前のDVD? 何だ、それは?」
「・・・・・」
「言わなきゃ、解らないだろう」
「津岡が私にくれたものです」
「どうして?」
「・・・・・」
妻は口をつぐんだままでした。